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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁
日本などで落着いて採り上げるには、恰好の研究題目であろう。
シートン教授との話の中で、日本の科学の前途に対して、たいへん参考になる話が出た。それは戦後の英国の研究である。英国も今度の大戦で、経済上の傷手がひどく、基礎方面の科学の研究には、戦後あまり金が出せない。しかし大した機械や設備を使わないで、非常にいい研究がぼつぼつ出てきている。アメリカの研究は、どうも機械負けがする傾向があるという意見であった。原子力の研究のような場合は問題がちがうが、もっと広い意味での物理学の研究には、まだまだ広い分野が残されているのである。原子力の世界になっても、「金も設備もなくて」という弁解の言葉は、やはり通用しないようである。
講演後ノーケ博士が、野外観測所を案内しようといって、大学から六マイル離れたところにある通信障害観測所へ連れて行ってくれた。そこは全くアラスカの荒野の真ん中である。少し開けた草原の中に、木造の観測所が一軒あり、自動車が二台、ひどく汚れたまま、放り出したような恰好で置いてあった。
中へはいってみると、三人の若い観測者が、記録の整理をしていた。三方の壁には、一面に自記受信記録計が一杯並んでいる。