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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁

青空文庫

靴は初めからあきらめるよりしかたがない。この歩きにくいシンダーの丘を登りつめて、真赤に口をあけた噴火孔の中を覗きこむには、少し勇気がいる。真赤といっても、火があるわけではなく、熔岩のなかばガラス状に固まった表面が、赤い色をしているのである。孔はずっと続いていて、奥は真暗である。まさか地球の中まで続いているわけではなかろうが、底は見えない。もっとも孔は垂直ではなく、途中から横にそれているので、井戸を覗いた感じではなく、勇気を振えば中へおりて行くこともできる。

こういう時には、菅谷君にかぎるので、地質用のハンマーを片手に、さっさとおりて行く。そのあとについて、おそるおそるおりてみると、足場はいろいろな出張りがあるので、そうむつかしくはない。ただ孔が横にそれて、鍾乳洞のようになっているところへはいると、きゅうに暗くなって、大いに気味が悪い。先は真暗で、どこまでつづいているのか見当がつかない。

しかしここまではいってみると、いろいろな珍しい現象が見られる。第一が、熔岩の鍾乳石であって、天井から乳房のような形になって、熔岩のつららがたくさん垂れている。恐ろしい圧力で、熔融している熔岩を噴き出し、その表面が少し固まった頃、内部の圧力が減ると、残りの熔岩が再び地下に吸いとられて、この孔ができる。