輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
線上閱讀林 不忘《丹下左膳(たんげさぜん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,229 字 · 389 頁
「こ、これ、あなたもいっしょに、左膳を止めてください」
と源三郎は、萩乃へ、
「私があぶないところを助かったのは、みなこの左膳のおかげだ。穴の底から三方子川へ浮かびあがることのできたのも、また、この家のあるじ漁師六兵衛に救われたのも、みんな左膳がいたればこそだ。萩乃、こころから左膳に礼を言ってくれ」
萩乃は、あらたまって左膳の前に両手をつき、
「なにから何まで、ほんとうにありがとうございました。源三郎様のことといい、今夜のことといい、御恩は生涯忘れはいたしません」
その、身も世もなくよろこばしそうなようすを、左膳はしばらくじっと見おろしていたが、
「イヤ、萩乃さん、あんたにそう言われただけで、おれは、このうえの満足はない。無事な源三の顔が見られて、うれしいだろうなア萩乃さん」
「ハ、はい……」
「ははははは、そうだろうなあ。大事にしてあげなさいよ。源三、行くぜ」
「さ、さ、左膳。ド、どこへゆく?」
「どこへ? それはおれにもわからぬ。この腰の濡れ燕にきいてくれ」
五
夜明けの一刻前……。
闇黒がひときわ濃いときがあるといいます。明け方の闇は、夜中の闇よりもいっそう深沈として――その暁闇につつまれた左膳、源三郎、萩乃の三人は、それぞれの立場で、凝然と考えこんだままだ。