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ごかいのまど

五階の窓

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《五階の窓(ごかいのまど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,189 字 · 21 頁

青空文庫

なまめかしき笑い声が、ドアの外へ消える。

「何だい、君」

野田は艶子の後姿を目で追いながら、北川に話しかける。

「ナアニ、妙な所をあいつに見られちゃったのさ。二人づれで歩いてる所を」

「赤坂かい。お安くないね」

「どうして、そんなんじゃないよ。お安くないといえば、君の方がよっぽどお安くないや」

「何が」

「隣同志でよ、しょっちゅうヒソヒソと内証話がさ」北川は一段と声を低めて云った。

「何が」

「白を切るない。野田と瀬川艶子の語らいがよ」

「馬鹿ッ。いい加減にしろ」

「だが、用心するがいいぜ。社長は馬鹿に御気に入りなんだからね。あの子供はなかなか速記が上手だなんて、目を細くしているよ、おやじ」

「そうかい」

「なんて、平気相な顔をするなよ。お察し申しますよ。御心配なことだ」

「いいじゃないか。社長がどうしようと、僕に関係したことじゃない」

さも申訳めいて、重々しく云うのを、北川はよくも聞かないで、もうその事は忘れて了ったかの如く、別のタイピストの背中へ、指先でいたずらをしながら、自席の方へ歩いて行った。

野田幸吉は、もう一度艶子の出て行ったドアの方へ、臆病な一瞥を投げると、暫らく前の算盤の玉をいじくっていたが、何となく落つかぬ様子で、やがて、ふと立上ると、なるべく人の顔を見ない様に、目のやり場に困るといった恰好で、ソロソロと室を出