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いまどしんじゅう
今戸心中
広津 柳浪
線上閱讀広津 柳浪《今戸心中(いまどしんじゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,688 字 · 74 頁
十
善吉は次の日も流連をした。その次の日も去らず、四日目の朝ようやく去ッた。それは吉里が止めておいたので、平田が別離に残しておいた十円の金は、善吉のために残りなく費い尽し、その上一二枚の衣服までお熊の目を忍んで典けたのであッた。
それから後、多くは吉里が呼んで、三日にあげず善吉は来ていた。十二月の十日ごろまでは来たが、その後は登楼ことがなくなり、時々耄碌頭巾を冠ッて忍んで店まで逢いに来るようになッた。田甫に向いている吉里の室の窓の下に、鉄漿溝を隔てて善吉が立ッているのを見かけた者もあッた。
十
午時過ぎて二三時、昨夜の垢を流浄て、今夜の玉と磨くべき湯の時刻にもなッた。
おのおの思い思いのめかし道具を持参して、早や流しには三五人の裸美人が陣取ッていた。
浮世風呂に浮世の垢を流し合うように、別世界は別世界相応の話柄の種も尽きぬものか、朋輩の悪評が手始めで、内所の後評、廓内の評判、検査場で見た他楼の花魁の美醜、検査医の男振りまで評し尽して、後連とさし代われば、さし代ッたなりに同じ話柄の種類の異ッたのが、後からも後からも出て来て、未来永劫尽きる期がないらしく見えた。