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ぶっきょうじんせいとくほん
仏教人生読本
岡本 かの子
線上閱讀岡本 かの子《仏教人生読本(ぶっきょうじんせいとくほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,886 字 · 246 頁
釈尊のこれに対する非難は、「仮りにそのようにして、天界へ生れたとしても、すでにそこへ行く原因の修業法が無理な拵えものであるから、やがてその足場が崩れて、また元のこの世へ落ちて来るに違いない」と言うのであります。譬えて言えば、無理算段をして温泉逗留に出たものが、旅先で旅費を使い果せば、やがてほうほうの態でまた元の住みにくい我が家へ戻って来るというのであります。
そして釈尊の教えは、これと違って、正しい考え方であります。この現実の苦労の原因、性質を見究め、正しい生活法によってその苦労の原因性質を除いて行く。そこに壊れも、押し戻されもせぬ永遠の天界が見出されるのだとするのであります。前の譬えに比較してみますと、こちらは、無理なことをして温泉行きなどせずに、只今の住みにくいこの我が住家について、どこが住みにくいのか、襖が破れていたら張り替えもしよう、雨漏りがしていたら、穴も葺き防ごう。このようにいちいち住みにくい個所を調べ除いて、そうして我が家に、温泉宿同様な快適な住み心地を見出そうとするのであります。
この教えによっても判るように、苦労は、これを避けて楽なところへ逃げ出すのもいけないが、さればと言って苦労に噛りつき、これに蝕まれるのも正しい人生の行路者ではありません。