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いせのまき

伊勢之巻

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《伊勢之巻(いせのまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,617 字 · 35 頁

青空文庫

はい、いつもまあこうやって、大神宮様のお庇で、繁昌をいたしまするが、旧の大晦日と申しますと、諸国の講中、道者、行者の衆、京、大阪は申すに及びませぬ、夜一夜、古市でお籠をいたしまして、元朝、宇治橋を渡りまして、貴客、五十鈴川で嗽手水、神路山を右に見て、杉の樹立の中を出て、御廟の前でほのぼのと白みますという、それから二見ヶ浦へ初日の出を拝みに廻られまする、大層な人数。

旦那様お通りの時分には、玉ころがしの店、女郎屋の門などは軒並戸が開いておりましてございましょうけれども、旅籠屋は大抵戸を閉めておりましたことと存じまする。

どの家も一杯で、客が受け切れませんのでござります。」

婆々はひしひし、大手の木戸に責め寄せたが、

「しかし貴客、三人、五人こぼれますのは、旅籠でも承知のこと、相宿でも間に合いませぬから、廊下のはずれの囲だの、数寄な四阿だの、主人の住居などで受けるでござりますよ。」

と搦手を明けて落ちよというなり。

けれども何の張合もなかった、客は別に騒ぎもせず、さればって聞棄てにもせず、何の機会もないのに、小形の銀の懐中時計をぱちりと開けて見て、無雑作に突込んで、