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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
おしお おお、それもごもっとも、みやこ育ちのおまえ様がたが、ここらの浜辺に流浪なされては、ほかに世渡りのすべもなし、御容貌のよいのを幸いに、ゆききの人になさけを売る。つらい勤めもお身のためじゃ。時の用には鼻もそぐと、下世話にいうは此事でござりましょう。
玉琴 姉さま、推量してくださりませ。
おしお かならずお叱りなされまするな。
(とりなし顔に云えど、玉虫は耳にもかけず。)
玉虫 これ、妹。もっともらしゅう云訳するが、かかる境涯におちぶれても、お前はまだまだ命が惜しいか。
玉琴 おなごの未練なこころからは、命が惜しゅうござりまする。
玉虫 恥をさらしても生きたいか。
玉琴 死ぬほどならばこの三月、平家滅亡の日に死にまする。
おしお ほんに左様でござります。平家滅亡のおりから、海に沈んだ官女達も多いとやら……。そのなかを無事にながらえたは、よくよく御運がよいのでござりましょうぞ。御運がよいと云えば……もし、玉琴さま。あのお方のことを申上げたら、姉上様の御機嫌がなおろうも知れますまい。
玉琴 いや、いや。それは……。
おしお はて、お隠しなさるには及びませぬ。(玉虫にむかいて。