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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
おいよ 明日ばかりでなく、これからは毎日でも暇をみまして、有難い教えをうけたまわりに参りますから、何分よろしく願います。
正吉 是非おいで下さい。お待ち申して居ります。(行きかけて空をみる。)おお、月がまた薄暗くなりました。
おいよ (空をみる。)このごろの癖で、夜はときどきに曇ります。
正吉 今夜はまだ狼の声はきこえませんか。
おいよ (耳を傾けて。)いえ、聞えません。まだ宵でござりますから……。
(薄く風の音。月はいよいよ暗くなる。下のかたより芒をかきわけて田原弥三郎は火縄銃を持ちて出で、おいよ等に行き逢いて透し見る。おいよは顔を隠すようにして、摺れちがいながら花道のかたへ行く。上のかたより猟師源五郎も火縄銃を持ち、おいよ等のあとを見送りながら出づ。弥三郎も花道をみかえりながら上のかたへ行きかかりて、思わず源五郎に突き当り、二人はおどろいて透し見る。)
弥三郎 おお、源五郎か。
(その声を聞きて、おいよは逃げるように向うへ走り去る。正吉は訳もわからずに、つづいて急ぎゆく。風の音。虫の声。)
――幕――
第三幕
一
第二幕とおなじ夜。第一幕の田原弥三郎の家。