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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁
五平 姉さんは家にいないのか。
お妙 夕方に出たぎりで、いまだに帰って来ないので、どうしたのかと案じているのです。
寅蔵 それはおかしいな。まさかに狼に出逢ったのでもあるまいが……。
お妙 それでも何だか案じられてなりません。
五平 ここのおかみさんが夜歩きをするのは珍しいことだな。
寅蔵 なにしろそこらで逢ったならば、早く帰るように云いましょうよ。
お妙 お頼み申します。
二人 あい、あい。
(五平と寅蔵は下のかたへ去る。)
お妙 (ひとり言。)ほんに姉さんはどうしたのか。
(お妙は砧を打ちつづけている。やがて向うよりおいよと正吉が足早に出づ。)
おいよ (わが家を指さして。)あれがわたくしの家でござります。
正吉 では、もうこれでお別れ申しましょう。
おいよ 御苦労でござりました。伴天連様にもどうぞ宜しく仰しゃって下さい。
正吉 かしこまりました。では、明日……。
おいよ はい。かならず伺います。
(正吉は会釈して、引返して去る。おいよは門口に来りて内をうかがい、木戸をあけて入る。)
お妙 おお、姉さん……。(砧をやめて立寄る。)あんまり帰りが遅いので、どうなされたかと案じていました。