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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

お妙 では、やはり何処か悪いのでは……。(おいよの顔を見て。)なんだか顔の色もよくないような。夜風に吹かれて、冷えたのではありませんか。

おいよ 此頃は逢う人ごとに顔の色が悪いと云われるが……。自分では別にどこが悪いとも思いません。冷えると云えばお前こそ、いつまでも庭に出ていて、冷えると悪い。もうだんだんに夜が更けます。好い加減にして内へ這入ったら何うです。

お妙 はい。

おいよ 今もいう通り、兄さんはどうで暁方までは帰られまいから、おまえは構わずに、もう先へお寝みなさい。

お妙 はい。(躊躇している。)

おいよ (笑う。)それとも待っている人でもありますか。

お妙 (あわてて。)いえ、そんなわけではありませんが……。では、もうそろそろ片付けましょう。

(お妙は庭に降りて、砧を片付けにかかる。)

おいよ いえ、そうして置いてください。お前のような若い人とは違って、わたしはまだ寝るには早い。代って少し打ちましょう。(庭に降りて空を仰ぐ。虫の声。)おお、月がまた明るくなった。

お妙 (おなじく空をみる。)宵には時々曇りましたが、よい月になりました。

おいよ よその砧の音ももう止んだような。