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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,094 字 · 411 頁

青空文庫

さりとはいたわしき限りよと、あわれを覚えしが恋の初め、はからずもこの玉琴殿と、浅からぬ縁をむすび申した。

玉虫 むむ、それゆえに妹をくれいと云わるるか。一旦縁を切ったる妹、わらわがとこう云うべき筋はござらぬ。勝手に連れて行かれたがよかろう。

(玉琴も進みいず。)

玉琴 さあ、それに就いてお願いがござりまする。これまでお目をかすめた罪は、いくえにもお詫びを申しますれば……。

玉虫 勘当をゆるせと云やるか。

玉琴 与五郎どのは今宵かぎり、俄かにここを引揚げて、本国の那須へ帰られまする。わらわも共に連れて行こうというありがたいおことば。就いては勘当のおわびを願い、おまえも共々に関東へ……。

玉虫 え、わらわも共に関東へ……。那須へ一緒にゆけと云やるか。

玉琴 わが身ばかり出世して、お前をすてて行かれましょうか。

与五郎 共々にお越し下さらば、それがしに取っても義理の姉上、決して疎略には存じ申さぬ。玉琴が切なる願い、なにとぞ勘当をゆるされて、われわれと共に本国にくだり、安らけく世を送られい。那須は草ふかき村里なれど、歌によむ白河の関にも遠からず、那須野が原には殺生石の旧蹟もござる。