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いど

作家の自伝102 伊藤左千夫

伊藤 左千夫

線上閱讀伊藤 左千夫《作家の自伝102 伊藤左千夫(いど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,100 字 · 19 頁

青空文庫

家庭の主人公なるが如く心得、家庭の事は、男子の片手間の事業かの如く考えて居るのが、今日家庭を説くものの理想らしいが、これが大間違の考と云わねばならぬ。

大なり小なり、一定の所信確立して、人格相当の家庭を作れる場合に至って、物質的家庭趣味の選択に取りかかるべきが順序である。己一身の所信覚悟も定まって居らず、如何にして家族を指導し、一家を整え得べき。精神的に一家が整わぬ所へ、やれ家庭小説じゃ、家庭料理じゃ、家庭科学じゃ、家庭の娯楽じゃと、騒ぎ立てることが、如何に覚束なきものなるか、予は危険を感ぜざるを得ないのである。

既に、今日の教育と云うものが、学問的に偏し、技芸的に偏し、人格的精神的の教育が欠如して居るかと思ふ。是等の教育に依って、産出する所の今日の多くの青年を見よ、如何に軽佻浮華にして、人格的に精神的に価値なきかを。如此青年が順次家を成し、所謂家庭を作るに当って、今日の如き家庭説、半驕奢趣味の家庭談を注入したる結果が、如何なる家庭を現じ来るべきか。

座して衣食に究せず、其の日其の日を愉快に経過するを以て、能事とせる家庭ならば、或は今日の家庭説を以て多くの支障を見ぬのであろう。