輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きずあとのはいけい

傷痕の背景

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《傷痕の背景(きずあとのはいけい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,022 字 · 38 頁

青空文庫

」

「…………」

見返すと、彼女の若々しい髪が、肉体が、電気の光を滑らして、息づいていた。それ全体が、一の抗弁のよう……。

彼はいきなり彼女を捉えて、胸に抱きしめた。

「許してくれ、それより外に、仕様がないんだ。」

「自由になりたいのね。」

「…………」

「いいわ。あたしも……自由に……。大丈夫よ。自暴は起さないから。」

「誓う?」

「…………」

彼女はただ笑った。彼も憂欝な微笑を浮べた。

隣りの部室には、昼間の労働に疲れた、若いトルストイアンの小林が、深い寝息を立てていた。

七

有吉祐太郎の大腿部の傷は、快癒までに二週間を要した。彼はその間に、休職を願った。そして一年ばかり過ぎて、免官の許可を得た。蔭で、田代芳輔の口添があったのは勿論である。

有吉は軍服をすてて、背広にかえた。頭髪を伸して、代りに、口髭を短く刈りこんだ。

その頃、杉本はもう上海に行っていた……。その断片的な消息を、有吉は警視庁の内部から得た。

「彼奴……。」

そう独語しながら、有吉は、やはり憎悪の念を持ち得ないのである。――