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にゅうえいぜんご
入営前後
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《入営前後(にゅうえいぜんご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,353 字 · 5 頁
一
丁度九年になる。九年前の今晩のことだ。その時から、私はいくらか近眼だった。徴兵検査を受ける際、私は眼鏡をかけて行った。それが却って悪るかった。私は、徴兵医官に睨まれてしまった。
その医官は、頭をくり/\坊主にして、眼鏡をかけていた。三等軍医だった。それが、私の眼鏡を見て、強いて近眼らしくよそおうとしているものと睨んだのである。御自分の眼鏡には、一向気づかなかったものらしい!
そこで、私は、入営することになった。
十一月の末であった。
汽船で神戸まで来て、神戸から姫路へ行った。親爺が送って来てくれた。小豆島で汽船に乗って、甲板から、港を見かえすと、私には、港がぼやけていてよく分らなかった。その時には、私は眼鏡をはずしていたのだ。船は客がこんでいた。私は、親爺と二人で、荒蓆で荷造りをした、その荷物の上に腰かけていた。一と晩、一睡もしなかった。
十二月一日に入営する。姫路へは、その前日に着いた。しょぼ/\雨が降っていた。宿の傘を一本借りて、雨の中をびしょ/\歩きまわった。丁度、雪が積っているように白い、白鷺城を見上げながら、聯隊の前の道を歩いた。