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はじめてにしだきたろうのなをきいたころ
初めて西田幾多郎の名を聞いたころ
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《初めて西田幾多郎の名を聞いたころ(はじめてにしだきたろうのなをきいたころ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,030 字 · 8 頁
だからわたくしは非常に驚いて岡本の話を聞いたのである。しかし四高では、すでに前々から先生の存在が大きく生徒たちの眼に映っていたようであるし、岡本が入学した三十九年ごろには先生の講義案も印刷になったといわれているから、岡本の話したことは岡本個人の意見ではなく、四高で一般に行なわれていた意見ではないかと思われる。一高の方ではちょうどそれに当たるような教授として岩元禎先生がいられたが、しかしそのころの岩元先生はただドイツ語を教えるだけで、講義はされなかった。論理学、心理学、倫理学など、哲学関係の講義は、速水滉さんの受持であった。従って岩元先生の哲学には全然ふれる機会がなかったのであるが、それでも先生は哲学者として評判であった。それくらいであるから、後に『善の研究』としてまとめられたような思想を、いろいろ苦心して育てていられた時代の西田先生は、その講義によって相当に深い感銘を生徒に与えられたことと思われる。それを考えると、右にあげたような意見が四高の生徒の間に行なわれていたとしても、少しも不思議はないのである。
そういうふうにして初めて名を知った西田幾多郎は、わたくしにとっては初めから偉い哲学者であった。