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はつたびのだいぼさつれんれい
初旅の大菩薩連嶺
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《初旅の大菩薩連嶺(はつたびのだいぼさつれんれい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,508 字 · 19 頁
四
道もない谷間に下り込んだ二人はさぞ困っていることだろう。私はマッチがあって提灯がなく、二人は提灯があってマッチを持たない。この焚火の明りを認めたなら、それをたよりに二人とも寄って来るであろうなどと考えて居る中にも、空模様が絶えず気に懸ったが、時々星の光りが見られるようになったので安心した。耳を澄しても水のせせらぎと小さな獣の足音の外には、心待ちにした人声も聞えずに、長い夜は明けてしまった。
「●大菩薩峠附近」のキャプション付きの写真
●大菩薩峠附近
四
二十四日。昨夜登りかけた道は下日川峠へ通ずるものであることが判った。用意のパンで朝食を済まし、二人が来る筈の沢の落合の所に、一足先に嵯峨塩へ行く旨を書き記した紙片を木の枝にぶら下げて、午前六時に露営地を離れ、残りの紅葉を眺めつつも、迂廻した道のあたりを振り返り振り返り、日川沿いにゆっくり嵯峨塩へ向った、礦泉に着くまで終に二人は姿を顕さない。八時頃宿に着いた。声を懸けたが返事がないので、横へ廻ってひっそりした中庭へつかつか入って行くと、急に犬が吠え出す。其声を聞いて、左側の離れ座敷の障子をガラリ開けながら、ヤアと飛び出して来たのは迷子になっている筈の二人であった。