輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《前記天満焼(ぜんきてんまやけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 48,568 字 · 98 頁

青空文庫

珠を払うとヒョイと立った。

「本筋から手繰って行くことにしよう」

土間を下りると雪駄を穿き、格子をあけると戸外へ出た。

午前六時頃の日射しである。

早朝だけに人通りが少なく、朝寝の家などは戸を閉ざしている。

須田町から和泉橋、ずっと行って両国へ出たが、駕籠を拾うと走らせた。

「へいよろしゅうございます」

駕籠屋に対しても丁寧である。酒手まではずんだ丁寧松は、駕籠を下りると歩き出した。

13

立派な旅籠屋が立っていた。

すなわち目的の柏屋で、下女が店先で水を撒いてい、番頭が小僧を追い廻している。

「御免下さい」と声をかけ、丁寧松は帳場の前へ立った。

「宇和島様おいででございましょうか」

「へい」と云ったは番頭であった。ジロジロ松吉を見廻したのは、品定めをしたのに相違ない。

「ええどちら様でございますかな?」

居るとも居ないとも返事をせず、相手の身分を訊いたのは、大事を執ったためなのだろう。

鼻が平らで眉が下っていて、人のよさそうな人相ではあったが、眼に一脈の凄味がある。大きな旅籠屋の番頭なのである。人が良いばかりでは勤まらない、食えない代物には相違あるまい。

「加賀屋の者でございますがね」