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げきだん「わらうようま」

劇団「笑う妖魔」

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《劇団「笑う妖魔」(げきだん「わらうようま」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,705 字 · 18 頁

青空文庫

五郎の席は一番前の列で、舞台へ手が届くばかりだ。

――これなら大丈夫。

と坐ったが、演技を見るような余裕はない。何時どこから兄が証拠の品を投げてよこすか分らないので、手に汗を握りながら唯そればかりを注意していた。

二番目は軽い喜劇だった。三番目が舞踊、その次が喜劇を取りいれた奇術で、その時はじめて道化役が出てきた。

――だぶだぶの服、筒帽子、顔を真白に塗って眼口を隈取っているピエロ。扮装しているので分らないが、体つきのどこやらに忘れ難い兄の俤がある、

――兄さんだ。

そう思ったとき、道化の方でも五郎の顔を眤と覓めたようだった。

五郎は息をつめた。舞台では演技が始まった。

まず三人いる奇術師が、お互いに巧妙な奇術をして見せる。すると道化役が側から種明しをするという、極く有りふれた筋である。しかし道化役が上手なので、観客はやんやと喝采していた。――五郎は無論そんなことは耳にも入らない。今にも兄が何か投げてよこすかと、腰をうかして待ちうけていた。

すると間もなく、道化が余り邪魔をするので、奇術師の一人が憤然と怒り、拳銃を取出して道化を射った。

がん※(感嘆符二つ、1-8-75)