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どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ
動力革命と日本の科学者
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《動力革命と日本の科学者(どうりょくかくめいとにほんのかがくしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,399 字 · 27 頁
私たちの育った北陸の片田舎でも、近くの小さいD川で水力電気を起こし、人口数百の村にまで電燈が点いた。それはたしか明治天皇崩御の二、三年前のことで、私が小学校の四年か五年の頃である。電球は炭素線の五燭とか十燭とかいうもので、今から言えば玩具のようなものではあったが、それでも、「D川の水が電気になったんだ」と言って、母や祖母たちは、大いに驚嘆していたものである。日中はもちろん送電がなく、夕方になると、電気会社の出張所の人が、長い竹竿の先に針金のフックをつけたものを担いで来て、電柱の上に取りつけてあるスイッチを引いた。すると村全体の電燈が一斉に点いたものであった。きわめて原始的な方法であったが、とにかく電気は点いて、今までの石油ランプの掃除はなくなり、またランプによる火災も後を絶った。
それから中学、高等学校、大学、理研生活と、十五年近い年月を経て、昭和三年に、英国のロンドンに留学した。そして何よりも一番驚いたことは、その頃のロンドンには、まだ電燈のない家がかなりあったことである。私はオーチス・エレベーター会社の技師の家に置いてもらったが、この家にも電燈はなかった。