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じゅうはちじのおんがくよく
十八時の音楽浴
海野 十三
線上閱讀海野 十三《十八時の音楽浴(じゅうはちじのおんがくよく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,941 字 · 210 頁
博士は腰を螺旋椅子の奥深くに落し、膝の上に肘をついて、何か思案のようであった。ときどき眼窩の中でつぶらな瞼がゴトリと動いた。その下で、眼球がなやましく悶えているものらしい。
男学員ペンは、女学員バラと同じように若い。ペンは隣りに腰をかけているバラのほうへソロソロと手を伸ばし、彼女に気づかれないように、バラのふくよかなる臀部に触れた。
ピシーリ。
女学員バラの無言の叱責だ。
ペンの手の甲が赤く腫れあがった。それでもペンの手は哀願し、そして誘惑する。
バラの手がペンの手の甲にささやいた。
「もうあと二時間お待ちよ」
と、ペンの手は執拗に哀訴する。
「僕は二時間たたないうちに、いなくなるかもしれないのだ。だから君よ、せめて今……」
「しっ。戒報信号が出たわよ」
高声器が廊下に向って呶鳴りはじめた。“隣りのアリシロ区では一人たりないぞ”という戒告だった。
三人は座席の上から、言い合わしたように首を右へ向けてアリシロ区のほうを見た。そのとき扉が開いたと思うと、中から一人の男性が飛びだした。そしてすこぶる狼狽のていで、自分の座席に蛙のように飛びついた。
「ああ、あれはポールのやつだよ。