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じゅうはちじのおんがくよく

十八時の音楽浴

海野 十三

線上閱讀海野 十三《十八時の音楽浴(じゅうはちじのおんがくよく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 103,941 字 · 210 頁

青空文庫

そんなことができるとは、想像もおよばない」

と、僕は心の底から感嘆の詞をはなった。

博士は、それほど得意そうに見えなかった。博士の眉毛の間にはふかい溝がきざまれていた。

「博士はこんな大発明をしながら、あまりよろこんでいらっしゃらないのは、どういうわけですか」

と、僕はつい気になって、たずねてみた。

「ああ、君の目にも、わしの苦痛がわかるかね。そうだ、君の見るとおり、わしはまだ喜んでいないのだ。というのは、まだ分らないことがたくさんあるのだ。たとえば、いま君がみた宇宙女囚――と、かりに名づけておこう――あの宇宙女囚は、三つの眼をぴくりぴくりとうごかしている。つまりあの生物は、たしかに生きているのだ。しかし残念なことに、意識を失っている。宇宙を電気になってとんでいるところをわしの器械に吸いよせ、そしてあのように立体化してみたところが、肉体は現われたが、意識がないというのでは、研究者としてこれが悲しまずにいられるだろうか」

博士はしんみりと述懐した。

なるほど、あの怪物は生きてはいるが、意識がないようである。僕から見れば、博士は千古不朽の大発明をしたように思うが、当の博士としては、これではまだ研究を完成していないわけで、それでははずかしいといっているのであろう。