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こじきものがたり
古事記物語
鈴木 三重吉
線上閱讀鈴木 三重吉《古事記物語(こじきものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,723 字 · 191 頁
これは、相模の野原で火攻めにお会いになったときに、その燃える火の中にお立ちになっていた、あの危急なときにも、命は私のことをご心配くだすって、いろいろに慰め問うてくだすった、ほんとに、お情け深い方よと、そのもったいないお心持を忘れない印に歌ったのでした。
命はそこから、なおどんどんお進みになって、いたるところで手におえない悪者どもをご平定になり、山や川の荒くれ神をもお従えになりました。
それでいよいよ、再び大和へおかえりになることになりました。
そのお途中で、足柄山の坂の下で、お食事をなすっておいでになりますと、その坂の神が、白いしかに姿をかえて現われて、命を見つめてつっ立っておりました。
命は、それをご覧になると、お食べ残しのにらの切はしをお取りになって、そのしかをめがけてお投げつけになりました。すると、それがちょうど目にあたって、しかはばたりと倒れてしまいました。
命はそれから坂の頂上へおあがりになり、そこから東の海をおながめになって、あの哀れな橘媛のことを、つくづくとお思いかえしになりながら、
「あずまはや」(ああ、わが女よ)とお嘆きになりました。