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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

すべてが淡々と叙し去ってあるにかかわらず、短篇小説でも読むような連想を与えずには置かぬ。句そのものの力より、前書に現れた事実の興味によるのであろう。

嫁入道具の中に『落窪物語』があったということは、大伯母妙貞の人柄なり、生れた家柄なりを考えさせるものがある。書誌学者ならば、この時代の草子についても必ず説があることと思うが、われわれは「めでたや」の一語からその体裁を想望するだけで満足したい。

客人に水汲おとや夏の月    吾仲

水は有力な夏のもてなしの一である。客人のために水を汲ませる。身体を拭く水か、飲む水か、そこまではわからぬが、汲むのは水道でなしに井戸だから、つめたいことは請合である。中七字が「水汲せたり」となっている本もある。「水汲おとや」とある以上、主人自ら汲むのでなしに、誰かに汲ませているので、特に汲ませると断るにも及ばぬかと思う。けれども「汲せたり」という言葉が、単に人をして水を汲ましむるに止らず、汲ませた水をそこへ運んで来るという動作を含むとすれば、その点は多少違って来るが、そこまで連想を働かすのが果して正解であるかどうか、疑問なきを得ない。