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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
従ってこの句の裏には、御覧の通りの屑家ではあるが、名月を見るには何の妨もない、という底意が窺われる。芥川龍之介氏はかつて芭蕉と一茶とを比較して、
「明月や池をめぐりて夜もすがら」とは芭蕉が明月の吟なれども、一茶は同じ明月にも、「明月や江戸のやつらが何知つて」と、気を吐かざるを得ざりしにあらずや。
といったことがあるが、必ずしも芭蕉との比較において然るのみではない。茅屋に坐して名月を望むという狭い天地において、有名ならざる東夷の作と比較しても、その差はかくの如く甚しいのである。芥川氏は元禄人と一茶との差異を以て人生観の差異に帰し「元禄びとの人生は、自然に対する人生なり。一茶の人生は現世なり。今人の所謂『生活』なり。一茶を元禄びとと異らしむるは、この一点にありと云ふも誇張ならず」と断じたが、この解釈はここにも当嵌るべきものと信ずる。
名月や何に驚く雉の声 示右
句意は改めて説くまでもない、極めて明瞭である。名月の光の下に、突如として鋭い雉子の声がする。あれは何に驚いたのであろうか、といったのである。
月の光にうかれて鳴く阿房鴉の声は、平凡であるだけに無事である。