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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

この種の言葉も元禄期の一特徴である。

初雪や桐の丸葉の片さがり    路健

雪に対して桐の葉を持出したところに特色がある。桐一葉は秋の到るを現すのに恰好なものであるが、それだからといって、桐の葉は冬を待たずに全部落ち尽すわけではない。かなり遅くまで枝についている葉がある。同じ作者の句に「初雪や桐の葉はまだ落果ず」というのがあるが、これは桐の梢がまだ幾葉もとどめていることを現したのである。「片さがり」の句はその葉の一に目をとめて、片さがりになっている状態を捉えた。「丸葉」は今の人だったら「広葉」というところかも知れない。

俳句は或伝統の上に立つ詩である。季題趣味というものも、伝統の上に立たなければ解し得ぬ点がいくらもある。しかしそれがために、桐の葉は秋に落ちるものだから、雪に配するのは常磐木か枯木に限るというような既成観念を生じて来ると、多少の危険を伴うことを免れぬ。句の趣は直に自然について探るべく、歳時記や既成観念に支配される必要は少しもない。古人も夙にそれを実行していることは、雪中の桐の葉がよくこれを証している。

栴檀の実にひよ鳥や寒の雨    蘆文