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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
(この場合「藪椿」は藪の中の椿の意に解したい。崖椿などという言葉が通用している今日から考えれば、藪椿を藪中の椿と解することは、決して無理ではあるまいと思う)暖い、明るい雪晴の藪に咲く椿の花は、白では工合が悪いから、ここは紅と見るべきであろう。
尤も女貞は常緑樹である。強いていえば雪後の女貞を詠んだものと解されぬこともないが、それでは「ぬくし」という趣が一向利いて来ない。雪後の麗な日和を生かすためには、どうしても藪中の椿として別個の色彩を点ずる必要がある。
一雨に椿落ち来ん藪の水 荘人
藪の中に累々たる花をつけた椿がある。今一雨来たならば、あの花がぽたぽた落ちるであろう、といったのである。「藪の水」というのは、藪の中に溜っている水であるか、藪の根をめぐる流であるかわからぬが、後者と解した方が景色としても面白いし、「落ち来ん」という言葉から考えても、単に藪中の溜り水に落ちるだけでなく、落ちて流れるという動きがあった方がよさそうに思う。
桜などに配した雨は、多くは花のうつろうことを惜しむ意に用いられるが、この「一雨」は、それによって椿の花の落ちることに、或風情を認めているのである。