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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁

青空文庫

蕪の挑灯というのは他にもあるかも知れぬが、私はまだ見たことがない。しかしこの句を読むと、俳味津々たるのみならず、何だか春の夜に調和するように思われるから妙である。異色ある句といわなければならぬ。

客亭主ともに老けり炉の名残    諷竹

炉塞の場合、そこに坐っている客も主人も共に老人で、茶を啜りながら閑談に耽っている、というようなところらしい。侘びた趣である。

天明の句にはこういう世界を覘ったものが多い。この句はその先蹤とも見れば見らるるものである。

陽炎や川の浅みの蚫から    范孚

陽炎が立っている。さらさら流れる川の浅いところに、蚫の殻が一つ沈んでいて、きらきら光っている。眩いような明るい趣である。

われわれの子供の時分には、金魚池などに蚫の殻を鼬よけに吊すということがあった。蚫の殻は裏がよく光るので、夜でも鼬が恐れて近寄らぬからだという。そういう貝だけに、川の浅みに沈んでいても、その光が目につくわけであろう。

玉椿落て浮けり水の上    諷竹

椿の花がぽたりと落ちて、しずかに水の上に浮ぶ、という意味である。こういう風の句は近来の写生句には極めて多いが、元禄時代にあってはむしろ異とすべきであるかも知れぬ。