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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
線上閱讀柴田 宵曲《古句を観る(こくをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 166,028 字 · 333 頁
春雨や戸板に白き餅の跡 酒楽
かつて餅搗の場合に、戸板を外してその上に餅を並べた。その時の餅の粉が白く戸板に残っている、というのである。作者はそれを春雨の際に発見したのであるが、この戸板は外されているのか、それとも立っているのであろうか。「戸板」という言葉だけ切離して考えると、外された場合のようでもある。ただ雨戸といったのでは、何で餅の跡があるのかわからぬから、前に外した時のことを現すため、殊更に戸板といったのかも知れない。必ずしも歳暮の餅搗でなしに、近く搗いた餅の跡としても差支ないが、とかくは無用の穿鑿であろう。春雨のつれづれなるに当って、「戸板に白き餅の跡」を発見しただけで、作者は満足なのである。
面白い見つけどころの句である。戸板に残る餅の跡などに興味を持つのは、俳人得意の世界でなければならぬ。
子を運ぶ猫の思ひや春の雨 里倫
猫が自分の産んだ子を他の場所へ移す。人があまり覗いたりすると、危害を加えられるように思うのか、知らぬ間に全く別の箇所へ運んでしまう。子猫の首のところを銜えて、一匹ずつ運ぶ親猫の様子は、慥に真剣なものの一である。