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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
線上閱讀佐々木 味津三《右門捕物帖(一)(うもんとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 220,431 字 · 428 頁
「お供のかたもどうぞ……」
いうように青まゆの女が目でいって、右門とともに伝六をも導き入れた一家というのは、おあつらえの船板べいに見越しの松といったこしらえで、へやは広からずといえども器具調度は相当にちんまりとまとまった二十騎町からは目と鼻の市ガ谷八幡境内に隣する一軒でありました。むろん、男けはひとりもなくて、渋皮のむけた小女がふたりきり――
「だんなはこちらへ……」
というように、緋錦紗の厚い座ぶとんへ右門をすわらせると、女は銅の銅壺のふたをとってみて、ちょっと中をのぞきました。そのしぐさだけでもう心得たように、すぐと運ばれたものは切り下げ髪なのに毎晩用いでもしているか、古九谷焼きの一式そろった酒の道具です。それから、台の物は、幕の内なぞというようなやぼなものではない。小笠原豊前守お城下で名物の高価なからすみ。越前は能登のうに。それに、三州は吉田名物の洗いこのわた。――どうしたって、これらは上戸にしてはじめて珍重すべき品なんだから、青まゆの女の酒量のほどもおよそ知られるというものですが、それをまた下戸のはずであるむっつり右門が、さされるままにいくらでも飲み干し、飲み干すままに女へも返杯しましたものでしたから、これはどうあっても伝六として見てはいられなくなったのです。