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こどものかなしみ

号外・少年の悲哀 他六篇

国木田 独歩

線上閱讀国木田 独歩《号外・少年の悲哀 他六篇(こどものかなしみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,584 字 · 59 頁

青空文庫

少年の悲哀

少年の歓喜が詩であるならば、少年の悲哀もまた詩である。自然の心に宿る歓喜にしてもし歌うべくんば、自然の心にささやく悲哀もまた歌うべきであろう。

ともかく、僕は僕の少年の時の悲哀の一ツを語ってみようと思うのである。(と一人の男が話しだした。)

※(アステリズム、1-12-94)

僕は八つの時から十五の時まで叔父の家で育ったので、そのころ、僕の父母は東京にいられたのである。

叔父の家はその土地の豪家で、山林田畑をたくさん持って、家に使う男女も常に七八人いたのである。僕は僕の少年の時代をいなかで過ごさしてくれた父母の好意を感謝せざるを得ない。もし僕が八歳の時父母とともに東京に出ていたならば、僕の今日はよほど違っていただろうと思う。少なくとも僕の知恵は今よりも進んでいたかわりに、僕の心はヲーズヲース一巻より高遠にして清新なる詩想を受用しうることができなかっただろうと信ずる。

僕は野山を駆け暮らして、わが幸福なる七年を送った。叔父の家は丘のふもとにあり、近郊には樹林多く、川あり泉あり池あり、そしてほど遠からぬ所に瀬戸内内海の入江がある。山にも野にも林にも谷にも海にも川にも、僕は不自由をしなかったのである。