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めいきょくけっていばん

名曲決定盤

野村 あらえびす

線上閱讀野村 あらえびす《名曲決定盤(めいきょくけっていばん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,837 字 · 680 頁

青空文庫

今日の中年ファンに、コルトーでなければ夜も日も明けないのが、――少数ながら残っているのはそのためである。

電気の直前に、ドビュッシーの『チルドレンス・コーナー』の入った時は、全く文字通り驚倒した。この演奏の見事さ、――ドビュッシーに対する理解の深さは、かつて我々の想像したあらゆる種類の演奏を、遙かに超えていたのである。この曲の一部分、例えば『ゴリウォークのケーキウォーク』などは、それ以前にもいろいろの人がレコードしているが、コルトーの演奏に比べると、あまりにも粗雑で、非芸術的でさえあった。

我らのコルトーに対する期待は白熱した。一九二五年頃、世は電気レコード時代になると同時に、コルトーの名曲、大曲が、相次いで入って来た。

第一番に入ったのは、ショパンの『二十四の前奏曲』(ビクター六七一五―八、名曲集二〇)であった。有名なレコード研究者の中村氏(NKM氏)がHMVの走りを輸入して、当時雑司ヶ谷に住んでいた私のところへ飛び込んで来たのは、昭和二年(一九二七年)の秋であったろう。二人は電気スタンドの下で、心耳を澄まして聴いた。第一番のハ長調の前奏曲の、溌剌とした美しさが、完全に私どもを魅了してしまった。