輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うたのたてやましんじゅういっきょく

唄立山心中一曲

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《唄立山心中一曲(うたのたてやましんじゅういっきょく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,835 字 · 61 頁

青空文庫

灯前の木の葉は白く、陰なる朱葉の色も浸む。

かくして辿りついた薄暗い饂飩屋であった。

何しろ薄暗い。……赤黒くどんより煤けた腰障子の、それも宵ながら朦朧と閉っていて、よろず荒もの、うどんあり、と記した大な字が、鼾をかいていそうに見えた。

この店の女房が、東京ものは清潔ずきだからと、気を利かして、正札のついた真新しい湯沸を達引いてくれた心意気に対しても、言われた義理ではないのだけれど。

「これは少々酷過ぎますね。」

「ここまで来れば、あと一辛抱で、もうちとどうにかしたのがありましょう。」

実は、この段、囁き合って、ちょうどそこが三岐の、一方は裏山へ上る山岨の落葉の径。一方は崖を下る石ころ坂の急なやつ。で、その下りる方へ半町ばかりまた足探り試みたのであるが、がけの陰になって、暗さは暗し、路は悪し、灯は遠し、思切って逆戻りにその饂飩屋を音訪れたのであった。

「御免なさい。」

と小村さんが優しい穏な声を掛けて、がたがたがたと入ったが、向うの対手より土間の足許を俯向いて視つつ、横にとぼとぼと歩行いた。

灯が一つ、ぼうと赤く、宙に浮いたきりで何も分らぬ。釣ランプだが、火屋も笠も、煤と一所に油煙で黒くなって正体が分らないのであった。