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よねんかん
四年間
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《四年間(よねんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,135 字 · 36 頁
に移って来たのである。……研究の課題は「癌」であった。癌がいかなる原因で発生するかということは、各国の医学者が種々の説を唱えているが、まだ決定的な証明はなされていない、信三は学校にいるころ、病理組織の研究をしていたが、傷創の治癒した部分、つまり切り傷などのなおった部分の筋肉をとってその断面を検鏡してみると、細胞組織が健康部とは違って、一定の不完全なかたちをしていることを発見した、しかもそれがきわめて癌組織に似ているのである、癌の発生する臓器はたくさんあるが、好発部としては子宮と胃をあげることができる、そして前者は経産婦に多いし、後者は胃潰瘍を経過することが通例だ、つまり両者ともその部位にかつて傷創をうけている、傷創をうけて治癒するとき、そこに生ずる不完全細胞が、なんらかの理由によって癌組織に移行するのではないか、簡単に云うとこれが信三の研究の主題だった。昌子には医学的知識がないので、研究そのものには助力はできなかったが、茅ヶ崎へ移って来ると、すぐから毎日研究所へ詰めて兄の手助けを始めた。実験用の家兎や猿やモルモットの世話をしたり、カードや統計表の整理、原稿の浄書などをしていたが間もなくミクロトームの操作や、検鏡用の細胞組織染色もできるようになった。