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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
線上閱讀高浜 虚子《回想 子規・漱石(そうせきしとわたし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,187 字 · 231 頁
それから河東君は同郷の先輩で文学に志しつつある人に正岡子規なる俊才があって、彼は既に文通を試みつつあるという事を話したので、余も同君を介して一書を膝下に呈した。どんな事を書いて遣ったか覚えぬがとにかく自分も文学を以て立とうと思うから教を乞いたいと言って遣った。それに対する子規居士の返書は余をして心を傾倒せしめるほど美しい文字で、立派な文章であった。これから河東君と余とは争って居士に文通し、頻りに文学上の難問を呈出した。居士は常にそれに対して反覆丁寧なる返書をくれた。それは巻紙の事もあったが、多くは半紙もしくは罫紙を一綴にし切手を二枚以上貼ったほどの分量のものであった。
子規居士は手紙の端にいつも発句を書いてよこし、時には余らに批評を求めた。余らは志が小説にあるのであるから更にこの発句なるものに重きを置くことが出来なかった。しかも近松を以て日本唯一の文豪なりと『早稲田文学』より教えられていたのが、居士によって更により以上の文豪に西鶴なるもののある事を紹介されて以来、我らは発句を習熟することが文章上達の捷径なりと知り、その後やや心をとめて翫味するようになった。