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ちきゅうはっきょうじけん
地球発狂事件
海野 十三
線上閱讀海野 十三《地球発狂事件(ちきゅうはっきょうじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,306 字 · 173 頁
「おう、あれか」と水戸の声は慄えた。
「なるほど不思議だ。雪のあるヘルナーの峰が盛んにもえている……」
そういった水戸の言葉を、今度は逆にドレゴが愕く番となった。
「なに、ヘルナーの峰が燃えているって。そんなはずはない」
「そんなはずはないといっても、確かに燃えているよ。炎々たる火焔が空を焦がしている」
「え、それは本当か」
ドレゴはさっと顔色をかえて、車を停めた。そして扉をあけて下へ立った。
おお、なるほどヘルナー山頂は火焔と煙に包まれていた。例の汽船の姿はその煙の中に殆んど没入していた。さっきまでは煙一筋もあがっていなかったのに、これはどうしたことであろうか。
友はしきりに感歎の声を漏らしていた。そして滅多に興奮しない彼が日頃にもなく顔を赤く染めて、激しい感投詞を口にした。
「これが僕の知っていることすべてだよ。後は、すっかり君の知識と同一さ」
ドレゴは言葉の終りをそう結んだ。
しかし正確にいうと、彼のこの言葉は完全だとはいい切れなかった。なぜならば彼はもう一つ水戸に語るべき事柄を忘れたのであった。尤もそのときドレゴ自身が、その事柄をすっかり忘却していたのだから、彼を責める訳にも行かないだろう。