輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

じょうちゅうのしも

城中の霜

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《城中の霜(じょうちゅうのしも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,828 字 · 26 頁

青空文庫

その説は最も穏健で、然も斬新卓抜であった。――日本の国防を完全にするには、満州から蒙古あたりまで注目していなくてはならない。そのためには魯西亜と提携すべしだ。左内のそういう説は、幕府の外交策にも大きな試案として役立ちつつあった。国土の遠隔な英、米、仏などと手を握るよりは、直に日本の北辺へのしかかっている魯西亜と同盟を結び、満蒙の地を我が注目圏内に置こうとする事の方が、どんなに緊要で且つ合理的だかということは、当時多少の眼をもつ者なら誰にも合点がゆくことだった。穆清は予てから左内の「日魯同盟論」に傾倒し、それがいつか幕府の外交策として採択される日の来ることを固く信じていた。だから今日になってとつぜん、左内の罪は遠島を改めて死罪とする。という達しが出たときは、茫然として為すところを知らなかったのである。

然し老中、若年寄のあいだにも、ひそかにその裁決を過酷だとする空気があるのを察したので、飯泉喜内と頼三樹三郎の刑を終り、その復命に出たとき態と左内の名を口にしなかった。若し咎められずに済んだら直ぐ遠島にしてしまおうと思ったからだ……そういう僅かな法規上の手落から、死罪の者が助かった例は一二ではない。