輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まど

堀辰雄集 新潮日本文学16

堀 辰雄

線上閱讀堀 辰雄《堀辰雄集 新潮日本文学16(まど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,906 字 · 119 頁

青空文庫

少年はくるりと踵を返すと、

「やっぱり悪いから止そうよ」と云いながら、ずんずん一人で先に降りてしまった。少女はそこに一人きり取り残されて、しばらく呆気にとられているように見えたが、やがて彼女も彼のあとを追った。

そうしてそのまま二人は彼等の love-scene には持ってこいに見えたその空家の庭からとうとう立ち去ったのである。

少年はその家を遠ざかるにつれ、つくづく自分に冒険心の足りないことを悲しむばかりであった。そうしてその辺の外人居留地かも知れない洋館ばかりの立ち並んだ見知らない町の中を少女と肩をならべて歩きながら、そういう弱虫の自分に対して自分自身で腹を立ててでもいるかのように、急に何時になくおしゃべりになった。

「君、メリメエという人の小説を読んだことがある?」

「いいえ、ないわ」

「そうかい、僕はその人の小説がとても好きなんだがなあ……僕はその人の短篇でね、『マダム・ルクレエス街』というのを読んだことがあるんだ……その中にね、丁度、今みたいな家が出てくるんだぜ、それは伊太利の話だけれど……ところがその空家の二階の長椅子がね、一つだけ埃がちっとも溜まっていなくて、何だか始終人に使われている見たいだったんだ……実はそこでね、毎晩あるお姫様がその恋人とあいびきをしていたということが後でわかるんだよ。