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まど
堀辰雄集 新潮日本文学16
堀 辰雄
線上閱讀堀 辰雄《堀辰雄集 新潮日本文学16(まど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,906 字 · 119 頁
それでも台所のところなどは内部がちらりと見えた。そこなどはいろんな台所道具が雑然と散らかっていて、中には倒れたまんまのもあり、そしてそれらのものは一面にこぼれた壁土のようなもので埋もれていた。どうやら震災の時からそっくりそのままにされているらしい。この家の持主である外国人は震災の時死んでしまったかも知れない。――二人はその空家を垣の中途から最初見たときふと彼等の心に浮んだ或る考えをいつか忘れてしまったかのように、そんなことばかりしゃべり合っている。
が、その家の裏手に、そこの庭園から丁度露台へ上るような工合にして直接にその家の二階へ通じているらしい、木蔦のからんだ洋風の階段を見出した時に、少年よりいくぶん早熟ているらしい少女は思い切ったように言った。
「ちょっとあれへ上って見ないこと?」
「うん……」少年は生返事をしている。
「そんなら私が先へ行くわ……」
それでもと云いかねて、やはり少年は自分が先に立ってその木蔦のからんだ階段をすこし危なっかしそうな足つきで上って行った。が、その中途まで上ったかと思うと、少年は急に足を止めた。そこの壁の上に彼の顔を赧くするような落書の描いてあるのを発見したからである。