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とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁
おじいさんの目が、とびだすほど見開かれ、前にいるQの顔を、まるで、おばけでも見るように、見つめているではありませんか。
北見君は、ハッとして、Qの方を見ました。
Qは、いすから、腰を浮かして、立ちあがりそうにしていました。両方の手の、大きなにぎりこぶしが、頭の上にふりあげられていました。そして、
「ウウウウ……。」
といううなり声とともにQの鉄のからだぜんたいが、グーッと、おじいさんの上に、倒れかかっていったのです。
おじいさんは、下じきになって、必死にもがいています。
あらしは、ますますはげしくなり、西洋館が、舟のようにゆれていました。ヒュウッ、ヒュウッという風の音。どこかで、バタンと、窓の開く音。そして、ピカッと、部屋の中がまひるのように明るくなり、しばらくして、おそろしい、かみなりの音が、おどろおどろと聞こえてきました。
ロボットの鉄人Qは、からだぜんたいが鉄でできているのですから、それに上からおさえつけられたおじいさんは、どうすることもできません。
「たすけてくれえ……。」
と、叫びながら、手足をばたばたやっているばかりです。
北見少年は、おじいさんをたすけようとしましたが、とてもかなうものではありません。