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とうじょうのきじゅつし

塔上の奇術師/鉄人Q

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁

青空文庫

「やっぱりそうだったのか。で、この宝石ばこは、どうして……。」

刑事が、ふしんらしくたずねますと、マユミさんが、はきはきしたくちょうで説明しました。

「二時間ほどまえ、小林さんから電話があって、この庭へしのびこんで、書斎の窓の外をよく注意しているようにたのまれたのです。刑事さんたちには、ないしょでかくれていたのです。

書斎をのぞいていると、小林さんがいなくなり、それから、淡谷さんも部屋の外へ出ていかれ、あとには一郎さんひとりになりました。

じっと、のぞいていますと、一郎さんが金庫をひらいて、むらさきのふろしきづつみを取りだしたではありませんか。四十面相が一郎さんに変装していることは、小林さんにきいて、ちゃんと知っていました。

それから、にせの一郎さんが、宝石ばこのふろしきづつみを持って、窓をひらき、庭へとびだしてきたので、あたしはいそいで木のかげに身をかくしました。

にせの一郎さんは、大いそぎで窓の近くの、こんもりとしげった木のかげに、ふろしきづつみをかくすと、そのまま、窓から書斎に帰りました。そして、なにくわぬ顔をして、一郎さんになりすましているのです。