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とうじょうのきじゅつし

塔上の奇術師/鉄人Q

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁

青空文庫

それで、スミ子ちゃんは、双眼鏡を持って、二階の窓へいそぎました。

双眼鏡で、園田さんのうちの時計塔をのぞけば、ヨシ子ちゃんのすがたが見えるかもしれないと思ったからです。

二階の窓をあけて、双眼鏡を目にあて、ピントをあわせました。いつもヨシ子ちゃんと、ハンカチの信号で話をするのは、時計のすぐ下の、塔の四階の窓ですから、もしやヨシ子ちゃんが、そこへきていないかと思って、その窓へ、ピントをあわせたのです。

窓はしまっていました。ガラスのむこうにも、なにも見えません。

そのとき、双眼鏡のたまの上のほうに、なにか動いているものがありました。「オヤッ。」と思って、双眼鏡をそのほうにむけますと、そこには、じつにみょうなことがおこっていたのです。

大きな時計の文字ばんが、双眼鏡いっぱいにうつっています。その下のほうに、ふたつのまるい穴があいています。ねじをまく穴です。その穴から、ひょいと、人間の首が出ているではありませんか。

「アラッ、あれ、丈吉さんじゃないかしら。」

スミ子ちゃんは、びっくりして、ひとりごとをいいました。

「そうだわ、丈吉さんだわ……。アラッ、たいへん! 時計の針が、丈吉さんの首の上へさがってくる。