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「だん」のかいたい

増補 美学的空間

中井 正一

線上閱讀中井 正一《増補 美学的空間(「だん」のかいたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,324 字 · 44 頁

青空文庫

さまよいの不安、その広さの不安、無限の方向に距離が感ぜられる世界である。しかし、距離の感じが無限であるだけで、自分が動いてはいないのである。

その自分が動いて、自分が方向の舵をもって動きつつ、距離感の中を動きはじめる時、第三次元が生れると云うのである。

かかる考え方でもって空間を考える立場では、自分が自分を見ると云う本質的な視覚が出現する時、それは、空間を自分と自分との間の距離の出現として取扱うのである。「見る」と云うことがすでに、「生きた空間」をかたちづくって来るのである。

ベッカーのこんな考え方は、所謂空間的アプリオリティから「距り」が生れるのではなくして、寧ろ自分が何か自分から距てられていること、そのことから空間が構成されてゆく。空間の中に生があるのではなくして、生の中に空間があるのである。

ゾルゲルの云う「黙って、ジッと自分を見つめている眼なざし」は、かかる生きて動いている空間の浮彫りされたものとなって来るのである。

ここに、私達が自然と自分との間に画布を立てて、それを距てることを考えて見るに、生の立場からするならば、自然に対決する一つの視線をもった自分と、その次の瞬間に視線を投げる自分との間の隙虚に、画布が寂かにすべり入り、その切断を充たさんとするとも考えられるのである。