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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 頁
いったい、このお台場を外様の大名に任せたということが、すでに徳川の名折れだ。痩せたりとも、枯れたりとも、徳川の手で造り、直参の旗で固めなけりゃならん、と我々も若い時にがんばったものだが、幕府の力が足りない。この台場なんぞも、薩摩の力を借りてやり上げたものだ。
これが出来上った時に、薩摩守が、ぜひひとつ、老中の阿部伊勢守に見てもらいたいとのことで、伊勢守が大目附あたりをしかるべく召しつれて見に来た時には、薩摩の太守が門の表まで出迎えて、ていねいな挨拶だが、伊勢守は頭を下げない、ただ会釈ばかりで玄関へ通った。何といっても、まだ天下の徳川の老中だ。世間では、薩摩の太守、薩摩の太守とあがめ奉るが、見受けるところ、老中に対してはあの通りだ。老中もまたあれだけの権式を保ち得られたものだが、僅かの間にそれもガタ落ち、薩摩の藩邸が江戸荒しの山賊の策源地と公認されながら、それに一指を加うることができないとは……
神尾は憤りを含みつつ、小酌を傾けました。
七十
さてその次の夜は、またおぼろ月の大原の里。
おぼろ月というのは、春に限ったものだが、ここ大原の里には、秋も月がおぼろに出ると、それに浮かれて二つの蝶が寂光院の塔頭から舞い出でました。