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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

七条通りまでは追いかけたが、そこでふっつり見失った。小間物屋は歯噛みをした。

引返した小間物屋は、また島原の廓の中へ身を現わします。

逃がしたのは残念だが、見当のついたのは喜ばしい。

山崎譲は、何か独り合点をしながら木津屋の暖簾の前へ来てみる。

ここの御雪太夫と近藤勇との仲は山崎もよく知っている。何か思いついて、

「こんにちは、御免下さいまし」

「あい」

嬉しそうに駈け出して来て、小間物屋の姿を見て、急に気落ちがしたように、

「何御用」

といったのはお松です。

「小間物屋でございます」

「小間物屋さん? 少しお待ちなさい」

と言って引込んだお松の後ろを山崎は見送っている。

お松は七兵衛の来るのを待ちに待っているけれども、七兵衛は影を見せない。

出口の柳まで、日に幾度も出て見た。家の前でする足音は、みな、七兵衛ではないかと思って駈け出して見たけれども、あれも、これも、その人ではなかった。

今夜寝て起きれば、明日は三日目。明日こそお松は、ここをつれられて帰る約束の日……いろいろと想像してその夜は眠れずに待っている。

もう丑の刻、あんまり行く末来し方のことが思われて、七兵衛待遠しさに眠れないので、お松は、かねて朋輩衆から聞いた引帯の禁厭のことを思い出した。