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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁
その残ったなかの男の一人は、机竜之助で、もう一人は久助という年古く仕えた下男であります。
竜之助は縁端へ出て、久助がさきほど焚きつけてくれた蚊遣火の煙を見ながら、これも先刻、久助が持って来てくれた三輪の酒を、チビリチビリと飲んでいました。
いつでも寝られるようにと、久助は蚊帳の一端を吊りっぱなしにしておいて、蒲団なども出しておきました。籠行燈の光がぼんやりとしているところで、竜之助は盃をあげながら、
「なるほど、この酒は飲める、処柄だけに味が上品である」
と独言を言います。
三輪の酒は人皇以前からの名物である。ここにまた古典学者の言うところを聞くと、
「ミワ」は、もと酒を盛る器の名であった、太古、三輪の神霊はことに酒を好んで、その醸造の秘術をこの土地の人に授けたという。また一説には「ミワ」は「水曲」である、初瀬川の水がここで迂廻するところから、この山にミワの山と名をつけた、それが社の名となり、社を祭る酒の器の名となった、土地の名になったのはその後であると――かの万葉に謡われし、
うま酒を三輪の祝のいはふ杉
てふりし罪か君にあひがたき
とある――また古事記の祭神の子が活玉依姫に通ったとある――甘美にして古雅な味が古くから湛えられているということは、三輪のうま酒の誇りであった。