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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁
されば道場の名は残るといえども、覚禅房限りで、表面この流儀の跡が絶えたわけでござる」
「かく覚禅房は出家として、武芸を後に残すことを好まれなかったが、門下には錚々たる豪傑がおったじゃ。まず、権律師禅栄というのが、やはり当寺の僧徒で希代の達人、これが宝蔵院のあとをつぎ申して、相変らず槍をやっておられたようにござる。一方、俗人の方においては中村市右衛門尚政という者が、これが宝蔵院覚禅房直伝じゃ。いま天下に行われる当流の槍は、この中村の流れを汲むが多いということである」
案内の僧は慣れていると見えて、息をもつがず滔々と述べ立てましたから兵馬は、
「このあたりにて、宝蔵院流の槍をよくする御仁は誰々でござろうな」
と尋ねてみると、
「さればさ……」
案内の坊さんは少しく首をひねり、
「当今、伊賀の名張に下石というのがある、これに宝蔵院流正統が伝わっているという話じゃ、愚僧は詳しいことは知らぬ、それにまた、術の妙を得た人には、この近いところ――」
坊さんは顋で、南の方をしゃくって、
「三輪大明神の社家に、植田丹後守というのがござる、これが当流の槍をなかなかよく使うそうじゃが、これもいっこう噂ばかりで、誰もその実際を見たものはないと申すことじゃ」