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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁
竜之助は袴でも取ろうかと思っているところへ、
「御免あそばせ」
例の女中が入って来て、
「旦那様、風呂をお召しになりましては」
「まだ入りたくない」
「あの、旦那様、お隣室が混み合いまして、まことにお喧しゅうございましょう。あの、少し手狭ではございますが、あちらの四畳半が明いておりますから、御案内申しましょうか」
「ここでよろしい」
この室でよろしいとキッパリ言われたから女中は二の句が継げなかったが、やっと、
「それでも、ここは、あのお隣室のお客様が夜更けまでお話しになるとお困りでしょうから」
「いいや、賑かでかえってよい」
膠もない言葉である。
「それでは、どうも……」
切出しが拙かったので、女中はヘトヘトになって言葉を濁して出てしまいました。
しばらくたつと、また隔ての襖が二寸ほど開いて、じっとこっちを見たのは眼の大きい面の色の赭黒い総髪の男であったが、今度は篤と竜之助の面を見定めてから、また襖を締め切り、
「まだいるぞ」
「まだいる?」
また手がハタハタと烈しく鳴る。
「お召しになりましたのは、こちら様で……」
恐る恐るやって来たのは、以前の女中でなくて番頭。
「貴様は何だ」