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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

お父さんは剣術も出来たが、槍がよかったと言います、宝蔵院の槍が……」

「なるほど」

「ですから、竜之助さんも、竹刀の中で育ったもので、十二三の時に、大抵の武者修行が、竜之助さんにかないませんでした。そうしてもし、自分より上手の者が来ると、幾日も、幾日も、その人を泊めておいて、その人を相手になってもらい、その人より上にならなければ帰さないというやり方ですから、ぐんぐん上達するばかりでした」

「なるほど」

「竜之助さんの修行半ば頃から、お父さんが病気にかかって、起き臥しが自由にならなかったもので、あの人の剣法が音無しの構えと言われるようになったのは、それから後のことだと聞きました」

「なるほど、なるほど」

「その時分には、もう、名ある剣客で、竜之助さんの前に立つ者は一人もなかったといわれます」

「うむ、うむ」

「けれども、あのお父さんばかりは許さなかったそうですよ――お父さんという人は、甲源一刀流の出ではありますが、柳生、心蔭といったような各流儀にわたっており、それぞれの名人たちの道場をも踏んで来た人ですけれども、竜之助さんの剣術というものは、ちょっとも自分の道場の外で鍛えた剣術ではないと言います。