輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

駒井は、急に寝台から飛び下りて書架のところまで行くと、辞書と覚しい部厚な洋書を一冊抜き取って、寝台の傍の燭台まで持って来て、それを開きはじめました。

「海竜――スネーク――ドラゴン」

と呟きながら、その書物を繰り返しているところを見れば、執念深いこと、この人はまだ海竜の未練が取去れないと見え、いったん、横たわった褥を蹴って、そのことの取調べにかかったものと見えます。

一冊――二冊――三冊ばかり、その部厚の洋書を抱えこんでは燈火の下まで持って来たが、三冊目のあるところのページを翻す途端に、バッタリと下に落ちたものがありました。

なにげなく、その落ちたのを取り上げて見ると、駒井甚三郎の面に隠すことのできない不快の色が、さっと現われました。

「ちぇッ」

危なくその物を床板の上に落そうとして、自分ながらその軽率を悔ゆるかのように、台の上へ静かに置いたのは、それは一個の婦人を現わした一枚の写真であります。

その写真は、そこへさし置いて、またも辞書を繰って、その数カ所を読んでみましたが、相当の当りがついたものか、三冊の辞書は、以前のところへ元通りに納めてしまったのに、取り出した写真のみは、依然として枕許の台の上へ置きっぱなしで、自分は再び寝床の中へもぐり込みましたが、蝋燭を消そうともせず、暫く仰向けに寝そべっていたが、